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書評「ルイ・ファン・ハール 鋼鉄のチューリップ」-21世紀のサッカーに大きな影響を与えた指導者-

   

ルイ・ファン・ハール「鋼鉄のチューリップ」

本書「ルイ・ファン・ハール 鋼鉄のチューリップ」は、現在マンチェスター・ユナイテッドの監督を務めるルイ・ファン・ハールの半生を振り返り、彼のフットボール哲学に迫った1冊です。

ルイ・ファン・ハールの現代サッカーへの影響は大きい

僕がサッカーを観ていて、最も衝撃を受けたチームは1994-95年シーズンのアヤックスです。国内リーグを無敗で制覇し、UEFAチャンピオンズリーグも優勝。アヤックス出身の選手を中心に構成されたチームは、「相手より1点でも多く獲って勝つ」という信念のもと、どこのチームにもない攻撃的なサッカーを展開していました。そのチームの監督を務めていたのが、ルイ・ファン・ハールです。したがって、僕のサッカー観はルイ・ファン・ハールの影響を受けているといえます。

ルイ・ファン・ハールは、2015年現在のサッカーに大きく影響を与えています。ルイ・ファン・ハールのアシスタントを務めていたジョゼ・モウリーニョ、選手時代にルイ・ファン・ハールの指導をうけたFCバイエルン・ミュンヘンの監督を務めるペップ・グアルディオラ、アヤックスの監督を務めるフランク・デ・ブール、オランダ代表監督のダニー・ブリントなど、ルイ・ファン・ハールの影響を受けた指導者が、様々なチームで活躍しています。

監督は八方美人では務まらない

ルイ・ファン・ハールは、優れたサッカーに対する知識をもつ指導者ですが、メディアに対する対応はつれなく、決してサポーターやメディア受けする指導者ではありません。そして、指導法も基本的には「自分の理想を貫く」タイプの指導で、選手と対立することも多く、「頑固」と言われることもあります。

ただ、ルイ・ファン・ハールが「頑固」と言われるのは、サッカーチームの監督がおかれている状況も大きいと思います。サッカーチームの監督は、チームが勝ったら持ち上げられますが、チームが負けたら真っ先に叩かれる因果な職業です。朝から晩まで働いても、常に結果が出るわけではありません。僕は、本書を読みながら、監督という職業を勤め、自分自身を守っていくために、ルイ・ファン・ハールは自然と「頑固」になったのではないかとも思いました。昨日の味方が今日の敵になる世界で、長年仕事を続けていくには、八方美人ではいられません。

大きな転機だった2度の失敗

本書を読んで、ルイ・ファン・ハールにとって大きな転機は、オランダ代表監督で2002年のワールドカップ出場権を逃し、続けざまにFCバルセロナの監督に就任するも解任された事だと思います。

この続けざまの失敗によって、ルイ・ファン・ハールは、選手とのコミュニケーションを積極的にとるようになるだけでなく、自分の理想を貫きがちだった指導法を、チームの問題を踏まえて、問題を解決するための指導を行う指導法に変えていったような気がします。

もちろん、頑固なルイ・ファン・ハールらしさは変わっていません。でも、本書からは、ルイ・ファン・ハールほどの指導者であっても、チームや状況に応じて試行錯誤を繰り返し、少しづつ少しづつ自分自身を成長させ、チームを成功に導こうとしていたのだということが伝わってきます。

こうした試行錯誤を怠らなかったからこそ、FCバルセロナでの失敗の後、AZでエールディビジを制覇し復活。FCバイエルン・ミュンヘンではブンデスリーガを制覇し、2度目のオランダ代表監督として、ブラジルワールドカップの3位にチームを導くことが出来たのだと思います。

ルイ・ファン・ハールは、既に大きな成功を収めた指導者でありながら、現在マンチェスター・ユナイテッドの再建という、新たなチャレンジの真っ只中にいます。61歳にして、新たなチャレンジに挑む姿勢に、僕は改めて尊敬します。

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