逆転勝利のポイントは、0-1で終えた前半にあり。2015年Jリーグ第6節 ベガルタ仙台対川崎フロンターレ レビュー

2015年Jリーグ第6節、川崎フロンターレ対ベガルタ仙台は3-2で川崎フロンターレの勝利。リーグ戦では初めてユアテックスタジアム仙台で勝利を飾ることが出来ました。

この試合は、川崎フロンターレの試合としては初めて「ライブトラッキング」で試合中のデータが紹介されていました。今回のレビューでは、ライブトラッキングで計測された数値も交えつつ、レビューを書いてみたいと思います。

逆転勝利のポイントは、0-1で終えた前半の戦い方

この試合の逆転勝利のポイントは、0-1で終えた前半の戦い方だと僕は思います。

前半、川崎フロンターレは予想に反して「3-5-2」のフォーメーションでスタートしました。風間監督は狙いを明かしてはくれませんでしたが、たぶんベガルタ仙台がFWからプレッシャーに来ることを想定して、DFラインでボールを動かしながら、相手を押し込もうという狙いがあったのだと思います。ただ、選手間の距離が遠かったこと、ベガルタ仙台がFWからプレッシャーに来なかったこと、そしてユアテックスタジアム仙台の長い芝でパス回しがスムーズにいかなかったこともあり、思ったように相手を押し込むことは出来ませんでした。

ただ、前半はパスを回しつづけたことで、ベガルタ仙台は守備に奔走することになります。公式記録によると、この日の気温は18.2℃。暖かくなった気候もあって、守備に奔走したベガルタ仙台は、時間が進むにつれて、選手間の距離を短く保てなくなってきました。この試合のベガルタ仙台のチーム合計走行距離は、115.877km。川崎フロンターレの114.190kmより1km以上多く走っていました。さらに、時速24km/h以上で走った回数は、ベガルタ仙台が159回、川崎フロンターレが133回。ベガルタ仙台が攻撃に、守備に、よく走っていた事がデータからも分かりますが、スタミナを消耗する戦い方を強いられた事も事実です。

前半からパスを回し続けたことで、相手のスタミナを消耗させたことが、後半の3得点につながったと僕は思います。

マン・オブ・ザ・マッチは角田

個人的には、この試合のマン・オブ・ザ・マッチは、角田だと思います。特に、後半は4バックに移行したこともあり、マッチアップすることが多かった、ベガルタ仙台のカウンターの起点となっているウィルソンを、ほぼ完璧に抑えこみました。

ベガルタ仙台は、ボールを奪ったらウィルソンにボールを預け、味方がスピードを上げて攻撃に参加する時間をつくった上で、一気に相手ゴールに迫るカウンター攻撃を得意とするチームです。角田は、元チームメイトだということもあり、ウィルソンの特徴を把握していたのだと思います。1対1の局面で、やられることはほとんどありませんした。

実はこの試合、ベガルタ仙台のトップスピードはウィルソンが、川崎フロンターレのトップスピードは角田が記録しています。ウィルソンのトップスピードが、32.3km/h。角田が32.7km/h。この2人の1対1がいかに拮抗した戦いであったか、よく分かります。

そして角田がウィルソンを抑えこんでくれたからこそ、川崎フロンターレの後半の猛攻が生まれていたのだということが、データからも分かります。

珍しく(?)効果的だった風間監督の選手交代

この試合では、珍しく(?)風間監督の選手交代も効果的でした。

前半15分頃から、川崎フロンターレのフォーメーションは、「3-5-2」から「4-3-3」に移行したのですが、レナトが右サイドに位置する時間があったりと、指示が選手全員に行き届いていないような印象を受けました。そこで、選手にどんなフォーメーションで戦うかを分かってもらうために、後半から船山を投入し、「4-4-2」に移行。DFラインを4人にしたことで、前半はMFなのか、FWなのかよく分からなかったエウシーニョのポジションが明確になり、レナトも左サイドに固定し、いつもの川崎フロンターレに戻りました。

船山→小林→井川、という選手交代の人選とタイミングも的確だったと思います。本当は、小林を後半から入れたかったようですが、船山がしつこくDFラインの前後でボールを受けようという動きが、攻撃を活性化したので、この順番で良かったと思います。船山は45分だけの出場にもかかわらず、走行距離は6.45kmを記録。いかに船山が動いていたか、よく分かります。

ちなみに、風間監督の采配の傾向は、いしかわごうさんがブログに端的にまとめてくださっているので、紹介しておきたいと思います。

ここでひとつ言っておくと、風間監督の采配というのは、ある意味ではとてもわかりやすいです。リードが1点だったり、引き分けのスコアでは、アクシデントがない限り、まず終盤まで選手交代をしません。ピッチ上の選手たちで共有されている感覚であったり、バランスをわざわざ崩したくないのでしょう。むしろ中でプレーしている選手達の判断で、しっかり追加点なり決勝点を奪って勝敗をつけてしまいなさい、という感じです。あえて邪魔しないようにしているとすら思えます。
その一方で、2点以上のリードしている試合や、負けている展開になると大胆に交代選手を使います。特に負けている展開では、今度は選手を入れ替えることで、現状のバランスをかなり積極的に崩そうとします。4年目ともなれば、その傾向はハッキリと見て取れます。

仙台戦は宿題の提出〜大久保嘉人「浦和戦みたく、自分が守備で下がってしまうと点は取れなくなる。あの形にはしたくないので、できるだけ下がらないようにする」 | いしかわごう公式ブログ「DETERMINATION!

この試合注目していたエウシーニョですが、個人的にはサイドバックで起用したほうが、いい選手だと思います。本人も、サイドバックの方が迷いなくプレー出来るのだと思います。守備の時の位置取りが怪しいのは事実で、2失点目に関与したりしているのですが、長い距離を走って相手DFラインの背後でボールを受ける動きや、長い距離をドリブルで運ぶプレーは、サイドバックの方が活きる気がします。この試合を観る限りでは、周囲との連携も少しづつ向上しているように思えます。引き続き、注目していきたいと思います。

中3日、中2日の連戦でどんな選手起用をするのか

これで、リーグ戦は3戦負けなし。ナビスコカップを含めると、4戦負けなし。少しづつ、チームはよい方向に向かっていると思います。次の試合は、中3日でナビスコカップのヴィッセル神戸戦。アウェーでのヴィッセル神戸戦の後に、中2日でヴァンフォーレ甲府戦と連戦です。怪我人が増えてきていることもあり、この連戦をどのように乗り切るのか。風間監督のチームマネジメントにも注目していきたいと思います。

関連商品