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2016年J1セカンドステージ第1節 ベガルタ仙台対川崎フロンターレ レビュー「守備と攻撃は表裏一体」

      2016/10/02

2016年Jリーグセカンドステージ第1節、川崎フロンターレ対ベガルタ仙台は3-0で川崎フロンターレが勝ちました。

良い面も悪い面もあった中村の左サイド起用

この試合も、左サイドに起用された中村憲剛のプレーに注目してましたが、良い面と悪い面、両方出た試合だったと思います。良い面は、1得点目と2得点目の攻撃です。中村を左サイドに配置するメリットは、2つあります。1つ目は、ボール扱いが上手い選手がサイドにいることで、ボールを奪われない場所を作ることが出来ます。2つ目は、ペナルティエリアの角から斜め方向のパスを入れることで、相手の守備を崩すことです。斜め方向のパスは、相手DFにはやっかいです。後ろに下がりながら対応しなければならず、クリアも不十分な体勢で行わなければならないケースが多く、クリアしたパスも相手に拾われやすいからです。

特に、ベガルタ仙台のように、4-4-2のフォーメーションで選手間の距離を縮めて守るチームに対して、斜め方向のパスは効果的です。サイドにボールがある時、ベガルタ仙台はボールがあるサイドに人が寄ります。すると、ボールがないサイドには大きなスペースが空いています。斜め方向のパスは、ボールがないサイドのスペースを攻めるのに、有効な攻撃です。そして、川崎フロンターレの右サイドには、小林とエウシーニョという、斜めのパスにあわせて動くのが上手い選手がいます。1得点目、2得点目は、川崎フロンターレとしては、狙い通りの攻撃で奪った得点だと思います。

狙い通りの攻撃で得点が奪えた一方、2得点目以降は、左サイドに起用された中村の悪い面が浮き彫りになりました。それは、守備です。中村の守備の問題は2つあります。1つ目は、マークする選手をきちんとマークしないということです。サイドのMFは、相手のサイドバックをマークするのがセオリーです。相手サイドバックが上がってきたら、マークにつかなくてはなりません。ところが、中村はベガルタ仙台の右サイドバックが上がってきても、マークにつきません。全くつく素振りもみせません。ベガルタ仙台は、FWのハモンロペス、大岩の2人で攻撃を仕掛けてきました。対する川崎フロンターレが対応するのは車屋1人。常に左サイドは数的不利の状態で守らなければなりませんでした。時に大久保やエドゥアルド・ネットが車屋が助けたり、車屋自身が上手く対応してくれたことで事なきを得ましたが、前半はいつ崩されてもおかしくない状態が続きました。

また、中村が攻撃の時に中央に入ってボールを受けようとするため、攻撃の時に中央に人が集中してしまいました。一方、左サイドには本来中村がいるべきポジションなのですが、中村がいないのでパスが出せません。いるべきポジションに選手がいないので、せっかく中央で大塚が縦パスを受けても、パスを出す選手が近くにおらず、ボールを失うという場面が時間が経つにつれて、目立つようになりました。

サイドに中央でプレーするのが得意な選手を起用すると、攻撃面でメリットがある反面、チームのバランスを崩しやすくなります。メリットも大きいので、マンチェスター・シティのダビド・シルバ、FCバルセロナのリオネル・メッシといった選手のように、ヨーロッパのクラブでも採用される起用法なのですが、デメリットも認識していなければなりません。

狙われているエウシーニョ

そして、川崎フロンターレが守備で問題を抱えていたのは、左サイドだけではありませんでした。右サイドは左サイド以上に問題をかかえていました。原因は、エウシーニョです。エウシーニョが対面する梁勇基は、サイドに張ったり、小林と大島の間に立ったりと、マークにつきづらいポジションを探して、動き続けました。エウシーニョは、梁勇基のマークを上手く受け渡せばよかったのですが、マークにつかなくてよい場面でついたり、マークにつくべき場面でつかなかったりしていました。

一度、野沢から梁勇基に決定的なパスが通りました。梁勇基がトラップを失敗して事なきを得ましたが、エウシーニョがマークを外したのが要因でした。エウシーニョのポジションが気になるため、小林が必要以上に下がったり、井川がエウシーニョの背後をカバーしたりしていて、いつ、中央を崩されてもおかしくない状況が続いていました。

守備の問題を修正しようとして出来なかった後半

2-0で勝っていたので、川崎フロンターレは守備の問題を修正しようとします。大塚に代って、武岡を入れます。エウシーニョを右MF、小林を左MF、中村を中央に移します。これによって、サイドの守備は修正されたように見えますが、今度は攻撃が機能しません。ベガルタ仙台が攻撃時に、選手間の距離を広くとり、三田を中心にサイドを効果的に使いながら、ボールを進めるため、川崎フロンターレの選手間の距離が広げられてしまいます。したがって、いざ攻撃しようとすると、選手が周りにいないため、普段のような短い距離のパス交換がなかなか出来ません。エウシーニョのプレーもよくないし、小林も左サイドに移ってからは、右サイドの時のように、相手の背後をとることが出来ません。大久保が孤立してしまい、なかなか効果的な攻撃が出来ませんでした。

渡辺監督は「自分の落し込みが悪かったのではないか」と試合後に語っていましたが、僕自身は監督の意図が選手にきちんと伝わっていると、試合を通じて感じていました。後半はハモンロペスを左に移し、右サイドに菅井と蜂須賀を入れて、ハモンロペスが崩したら菅井に狙わせる、蜂須賀のクロスはハモンロペスに狙わせるという、どう崩したいかという狙いは、よく分かりました。最後の仕上げの「止める」「外す」といったプレーの質が低かったため、得点にはつながりませんでしたが、僕はベガルタ仙台の方が、この試合はよいサッカーをしていたと思います。3-0ほどの差はなかった試合だと思います。

中村もエウシーニョもスタメンで出られる保証はない

この試合を観ていて感じたのは、選手層が厚くなってきたことで、誰であってもスタメンを外れる可能性があるということです。中村が左サイドで起用されるということは、中央のポジションに他に起用したい選手がいるということでもあります。もし、中村が左サイドで良いプレーが出来なければ、待っているのはベンチスタートです。2015年シーズンなら、エウシーニョが2試合連続で途中交代するなんて、考えられませんでした。でも、エウシーニョは今のままのプレーなら、次の試合には武岡が出場していてもおかしくありません。大久保だって、3試合ノーゴールが続けば、今のように自分のためにチームがプレーしてくれるかどうか、分かりません。

相手の方がよい試合をしながら、結果は3-0。ファーストステージでは控えだった、井川と谷口のセンターバックコンビで、2試合連続完封勝利。チームの力が上がっていることは、この試合を観ていても感じます。ただ、守備の時にやるべきことがきちんと出来ているか、攻撃の時にやるべきことが出来ているかというと、この試合はそうではなかったと思いますし、課題が残る試合だったと思います。

チームの力が上がっていても、問題が全くなくなるわけではありません。今や大島のチームといえるほど存在感が大きい大島が不在になった時、どんな戦いをするのか。守備に不安があるため、どのチームも攻略のポイントとして狙いを定められているエウシーニョをどうするのか。中村の左サイド起用を継続するのか、中央からの攻撃が減っている問題をどう対処するのか、などなど、勝っていても課題はつきません。

「ウイニングチーム・ネバー・チェンジ」という言葉がありますが、勝っている時こそ、変えていく必要があったりします。川崎フロンターレのチーム作りを追いかけていると、チーム作りは生き物なのだとつくづく感じます。次の試合ではどんな戦いをするのか。どんなメンバーが出場するのか、注目したいと思います。

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