2017年J2第18節 東京ヴェルディ対名古屋グランパス プレビュー「小林裕紀のセンターバック起用は「勝つ確率」を高めるため」

2017年J2第18節、名古屋グランパスの対戦相手は東京ヴェルディです。まず、第17節までのデータを基に、対戦する東京ヴェルディのデータから分析した特徴を紹介します。

「シュートチャンスを作るのは上手いが、成功率の高いシュートチャンスを作り出せているとはいえない」

Football-LABのデータによると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は11.7%でリーグ2位。攻撃を開始したら高い確率でシュートを打つまでボールを運ぶ事が出来るチームです。元々東京ヴェルディはボールを保持する技術に優れた選手が多いチームなので、そこまで驚くべき数字ではない気もします。しかし、ゴール数をシュート数で割った「シュート成功率」は、8.3%でリーグ15位とそこまで高くはありません。「シュートチャンスを作るのは上手いが、成功率の高いシュートチャンスを作り出せているとはいえない」こう言えるかもしれません。

データをさらに確認すると、東京ヴェルディの1試合平均のゴールの枠内にシュートした「枠内シュート数」は5.1本でリーグ3位。決して少ない本数ではありません。枠内シュート数が多いのにシュート成功率が低いということは、「ゴールキーパーがいない場所にシュート出来ていない」「シュートを打つ時に強いシュートが打てずにゴールキーパーに止められている」といった理由が考えられます。

なお、東京ヴェルディの攻撃に関するデータで注目したいのは、1試合平均のペナルティエリアを横切るようなパス(クロス)の本数が16.5位でリーグ3位。クロスからの得点が得点全体の23%(5得点)を占めています。スペイン人監督のチームらしい特徴でもありますが、東京ヴェルディといえば中央で素早くパス交換をしながら攻撃を仕掛けてくるイメージをもっている人がいると思いますが、2017年の東京ヴェルディはペナルティエリアの左右からの攻撃を仕掛ける事が多いチームだという事も頭に入れておくと、より試合を楽しめると思います。特に安在和樹の左からのクロスは要注意です。

「シュートは打たせるけれど、成功率の高いシュートは打たせてくれない」

守備のデータを確認すると、「被チャンス構築率」は10.2%でリーグ15位。この数字は前節戦ったツエーゲン金沢のデータ(10.5%)と大きく変わりません。ただ、実は攻撃を受ける回数「被攻撃回数」は125.8回でリーグ3位と、相手から攻撃される回数は多くありません。攻撃される回数が多いにもかかわらず「被チャンス構築率」が高いのは、相手にペナルティエリア付近までボールを運ばれる回数が多い、あるいはボールを奪う位置が低いという事が考えられます。したがって、名古屋グランパスがボールを保持したら、ミスなくペナルティエリア付近までボールを運べる回数は多いのではないかと予想します。

ただ、東京ヴェルディから得点を奪うのは簡単ではありません。相手チームのシュートの「被シュート成功率」は、6.0%とリーグ3位。「被チャンス構築率」が10.2%と考えると、低い数字だと思います。シュートは打たせるけれど、成功率の高いシュートは打たせてくれないチームなのです。ヘディングが上手くて1対1に強い井林、シュートセーブが上手い柴崎といった選手の守備をいかに掻い潜ってゴールを奪うか。シモビッチと井林のマッチアップは見応えある戦いが観られると思います。

ボールを保持することに慣れろ

名古屋グランパスは前節はツエーゲン金沢に2-3で敗戦。2失点は守備のミスが原因でしたが、この試合のレビューで取り上げたのは、守備の問題ではなく、攻撃の問題です。特に、シュートチャンスを作る前のプレーを仕掛けるのが早く、正確にプレー出来ないため、相手を押しこんでいるにもかかわらず、ミスが増えてしまい、相手にボールを渡してしまう。その後、相手のロングパス攻撃によって、攻撃を開始する場所が後退してしまい、体力を消耗する。この繰り返しが敗因だと僕は感じました。

だからこそ、この試合ではボールを保持したら、ミスなくボールを相手陣内に運ぶ事が求められます。そして大切なのは、ボールを保持することに慣れ、ボールを持っている時に余裕を持つことです。余裕があれば、相手がボールを奪おうとしても、気にせずに最適なプレーを選択できますし、成功率の高いシュートチャンスを作り出す事が出来るはずです。

小林裕紀のセンターバック起用は「勝つ確率」を高めるため

この試合、小林裕紀がセンターバックで起用される事が予想されています。この起用は奇策ではなく、僕はいつかありうる起用だと思っていました。ただ、ある程度ミスなくプレー出来るようにならなければ、小林を起用してもメリットは少なかったと思います。ただ、今の名古屋グランパスは、少しずつミスなく相手陣内までボールが運べるようになり、プレーのテンポが上がってきています。プレーのテンポが上がり、相手を押しこんで戦えるようになったからこそ、相手ゴール前までよりスムーズに運ぶことがDFのスキルとして求められるようになりました。だから、このタイミングで小林をセンターバックで起用するのです。相手の攻撃をただ止めるのだったら他の選手を起用します。

名古屋グランパスが目指しているのは、勝つ確率が高いサッカーです。サッカーは相手より得点を奪ったチームが勝つチームです。相手より得点を奪うためには、ボールを保持しなければなりません。ボールを保持する時間を長くすることで、得点出来る確率を高める一方、ボールを保持する時間が少なければ相手に攻撃される時間も減ります。風間監督が目指しているサッカーは、決して奇をてらったサッカーではありません。むしろ「王道」とも言えるサッカーです。まだまだ課題だらけのチームですが、現時点での実力を測るにはよい相手です。どんな試合になるのか楽しみです。

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