新しいシステムの狙い。2014年J1第34節 川崎フロンターレ対ヴィッセル神戸 レビュー

2014年J1第34節、川崎フロンターレの対戦相手はヴィッセル神戸。第1節での対戦では、2-2の引き分けでした。大久保の2年連続得点王がかかっている試合ですが、僕は違う観点からこの試合のポイントを考えてみたいと思います。

守備は3-5-2、攻撃は4-4-2

僕が考えるこの試合のポイントは、前節から川崎フロンターレが採用しているシステムです。

前節から、川崎フロンターレは新しいシステムを採用しています。守備の時は、「3-5-2」のフォーメーションで戦っているのですが、攻撃の時には、「4-4-2」にフォーメーションが変わります。攻撃と守備の時にフォーメーションが変わるのが、このシステムの特徴です。

守備の時に3-5-2を採用する理由は、中央を守備する人数を増やして、失点を減らすことが狙いです。3-5-2は相手サイドバックがフリーになりやすいフォーメーションのため、相手ゴール前でボールを奪うには向いていません。相手に攻め込まれた時に、5-3-2にすることで、守備をする人数を増やし、相手の攻撃を跳ね返すことが出来ます。

川崎フロンターレは、ここ数試合簡単に相手にDFラインを破られ、失点する場面がみられました。個人個人の守備力や、チーム全体の守備力がシーズン中に高まるわけではありません。だから、中央を守る人数を増やすことで、失点を減らすことが狙いです。サンフレッチェ広島戦でも、中央を攻略された場面は少なく、一定の効果がみられました。

攻撃の時は、3-5-2から4-4-2にフォーメーションが変化します。4-4-2は、今シーズン川崎フロンターレが最も採用したフォーメーションで、攻撃の時に、サイドハーフとサイドバックとサイドを担当する選手が2人いるため、中央、両サイドをバランスよく攻撃することが出来るフォーメーションです。

フォーメーション毎の長所を活かす

余談ですが、フォーメーションの「3-5-2」や「4-4-2」という数字は、あくまで守備を開始する位置を示す数字の並びです。攻撃の時は、サイドバックがFWの位置に入ったりするので、数字の並びはあまり役にたちません。

川崎フロンターレが、攻撃と守備の時にフォーメーションを変えているのは、現在の攻撃と守備の問題点を解決するためです。攻撃と守備の時にフォーメーションを変えるのは、アンチェロッティが得意としている戦術です。「アンチェロッティの完全戦術論」で、フォーメーションを攻撃の時と守備の時で変えることで、フォーメーション毎の長所を局面毎に活かすことが出来ると語っていますが、川崎フロンターレも同様の狙いをもって、新しいシステムを採用していることが、前節のサンフレッチェ広島戦から伝わってきました。

新システムのキーマンは森谷賢太郎

新しいシステムのキーマンは、森谷賢太郎です。

3-5-2の時は、右サイドをカバーし、相手サイドハーフやサイドバック相手にディフェンスする役割が求められています。攻撃の時は、4-4-2のサイドハーフとして、サイドから中央に入ってボールを受けて、パスを出して、また受けるという動きを繰り返し、チームの攻撃をスムーズにする役割が求められています。

サイドの守備と、攻撃の組み立てという仕事をこなすのは、簡単ではありません。森谷には、豊富な運動量と、的確な状況判断が求められます。逆に考えると、このシステムは、森谷の能力をフルに引き出すために組まれたシステムだとも言えます。だからこそ、森谷がどのようなプレーをしてるかが、このシステムが機能しているか判断するポイントになるかと思います。

2014シーズン最後の試合。優勝も降格争いも関係ない試合だからこそ、川崎フロンターレが取り組んでいる新しいシステムに注目してみてください。そこに、来シーズンの戦い方のヒントが隠されているかもしれません。

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