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2016年J1セカンドステージ第14節 ヴィッセル神戸対川崎フロンターレ レビュー「風間監督がどうチームを変えるのか注目」

   

2016年Jリーグセカンドステージ第14節、川崎フロンターレ対ヴィッセル神戸は、0-3でヴィッセル神戸が勝ちました。ヴィッセル神戸のゲームプラン通りに試合を運ばれてしまった。そんな試合でした。

ヴィッセル神戸の川崎フロンターレ対策

ヴィッセル神戸の川崎フロンターレ対策は、サガン鳥栖が採用した対策と同じでした。ボールを保持したら、まずはFWの選手に対するロングパスを狙います。ロングパスを狙うのは、谷口と車屋、田坂とエウシーニョの間です。DF3人で守るとき、ウイングバックと呼ばれる左右のMFとDF3人の左右の間は狙うべきポイントなのですが、ヴィッセル神戸は徹底的にそこをついてきました。

このポイントにロングパスを蹴ることによって、本来中央を守りたい選手がサイドに引きずり出され、中央のエリアが空いてしまうため、守るべきポジションにズレが生じた結果、相手に守備を崩されてしまうことがあります。また、ロングパスを狙われたサイドとは反対側のサイドは、ずれたスペースを埋めようとしたことで、空きやすくなってしまいます。

ヴィッセル神戸には、レアンドロと渡邉というボールを受けて、味方が攻撃に参加する時間が作れる選手がいます。前回対戦時はレアンドロはいませんでしたので、そこまでボールをキープされる事はありませんでしたが、今回はレアンドロにボールを上手くキープされ、渡邉を上手く活かされてしまいました。

狙われた田坂とエドゥアルド

そして、ロングパスを使って攻撃する狙いは、川崎フロンターレのDFラインを下げさせ、攻撃を開始するポイントを下げさせる事が狙いでした。攻撃を開始するポイントを下げた後は、パスコースを上手く消しながら、ボールを奪いにいきます。ヴィッセル神戸が狙いを定めていたのは、田坂とエドゥアルドです。

田坂は右サイドでは、パスを受けた後、右足で斜め前方向にボールを止める事が多い選手です。田坂がボールを止めた後、マークする松下が田坂のボールを止める方向を読んで素早く距離を縮め、田坂がボールを前方に運ぶプレーをさせませんでした。

田坂としては、ボールを前に運べないなら、斜め方向にパスを出したいのですが、パスコースはニウトンが消しています。前方向にパスを出したいのですが、パスをなかなか出せないので、後方のエドゥアルドにボールを下げます。ところが、エドゥアルドは左利きです。田坂からパスを受けると、右足でボールを扱わなくてはなりません。右足では正確なパスが出せません。ヴィッセル神戸はこの事が分かっていました。だから、徹底的にこの2人に狙いを絞って、ボールを奪いにいきました。

そして、田坂がボールを前に運ぶプレーをすればするほど、エドゥアルドが右サイドをカバーする事が増えました。そうすると、エドゥアルドが右足でプレーする場面が増えます。ヴィッセル神戸は、エドゥアルドの右足に狙いを定めていました。

エドゥアルドは、川崎フロンターレの他のDFにはない、高さと強さを持っている選手です。エドゥアルドが加入したことで、川崎フロンターレの守備はレベルアップしました。ところが、ファーストステージ第16節のアビスパ福岡戦で負傷交代後、本来のプレーをなかなか披露出来ていません。セカンドステージ第8節のサガン鳥栖戦で肩を負傷したことも、本来のプレーを披露出来ていない要因です。

そして、今までは守備で隠れていたのですが、エドゥアルドは好調時から課題をかかえていました。それは、川崎フロンターレのテンポにあわせて、正確にパスを出せないという課題です。左足のキックは正確なのですが、「止めて、蹴る」テンポが遅いので、川崎フロンターレの速いテンポに1人だけ遅れてしまうのです。この試合は、ヴィッセル神戸によって、エドゥアルドの強みではなく、弱みが浮き彫りになってしまいました。さすがネルシーニョです。

局面での数的優位を活かせずフォーメーションを変更

田坂とエドゥアルドがヴィッセル神戸の守備に捕まってしまったため、他の選手がサポートしようとした結果、川崎フロンターレの攻撃のテンポが遅くなっていきます。

本来、川崎フロンターレのDF3人に対して、ヴィッセル神戸のFW2人なので、数的優位なはずなのですが、捕まっている選手がいるため、数的優位を活かせません。エドゥアルド・ネットがサポートするために下がり、大島が下がり、中村まで下がってしまいます。どんどん、小林と大久保との距離は広がり、ますます攻撃は上手くいかなくなってしまいました。

ヴィッセル神戸は守備の時に、ボール付近に人数をかけているので、人数をかけている所を外せると、チャンスを作る事が出来ました。ところが、なかなか攻略したい場所までたどり着きません。先制点を奪われるまではまだ上手くいっていましたが、先制点を奪われてからは、ますます相手の守備に捕まる時間が増えてしまいました。

後半になってから、川崎フロンターレは4-4-2のフォーメーションに変更します。エドゥアルドを左センターバックに移動させ、攻撃時のパス回しを少しでもスムーズにさせる。そして、ヴィッセル神戸がロングパスで狙ってきているエリアを、エウシーニョと車屋にカバーさせて、相手の攻め手を奪おうとしました。しかし、三好を入れて得点を奪いにいこうとした瞬間、2得点目を奪われ、試合は決まってしまいました。

2-0になってからは、DFラインの前で三好がボールを受けてチャンスを作っていましたが、ヴィッセル神戸は2-0になってから、4-1-4-1のフォーメーションに変更。狙われていたDFラインの前のスペースを消して、川崎フロンターレの攻め手を奪ってしまいました。先制点を奪っていれば、ゲームをコントロール出来ていた試合だと思いますが、先制点を奪われた事で、自ら試合を難しくしてしまったように感じました。

中村と大久保をどう扱うのか

川崎フロンターレが負けるときは、大体、大久保と中村が揃ってダメな時です。2016シーズンは大久保と中村がダメでも、小林と大島が活躍し、チョン・ソンリョンが守って、勝利をおさめてきました。しかし、この試合は小林も大島も試合をひっくり返せる程は活躍出来ませんでした。そして、チョン・ソンリョンも不在。これでは、なかなか勝つことは出来ません。

大久保と中村は攻撃に力を注ぐことを前提で、守備もある程度免除されています。しかし、この試合は大久保と中村が守備をしないため、ヴィッセル神戸のロングパスの起点となっている選手を封じることが出来ませんでした。また、ヴィッセル神戸の攻撃を受けたとき、2人は自陣深くまで戻りません。したがって、ヴィッセル神戸のMFがゴール前に侵入してきた時に、フリーになる場面がみられました。2人が戻るべき場所に素早く戻っていれば、防げた攻撃が何回かありました。

2失点目は小林が右サイドを空けてGKにプレッシャーをかけにいったので、中村か大久保が小林の空けたスペースに戻らなければなりませんでした。ところが、2人は中央にとどまったまま。特に右に近いポジションにいた中村が戻れば問題なかったのですが、中村が歩いていたため、橋本はフリーでボールを受け、余裕をもってレアンドロにパスをすることが出来ました。シュートを決めたレアンドロは凄いですが、簡単にペナルティエリアに侵入させるパスを出させた守備の方が問題でした。

3失点目も、渡邉とレアンドロのコンビネーションは見事でしたが、渡邉にパスを出した三原に対して、素早く寄せていれば問題ありませんでした。この場面でも、三原の近くで立っているだけだったのが、中村です。中村がきちんと守備をしていれば、防げた失点だったと思います。中村は前節も1失点目に絡んでいます。確かに攻撃では8得点10アシストと結果を残していますが、年々守備への関与が減っており、ボランチで起用する時のリスクが増えていることは、見逃せません。

そして、問題は大久保です。このブログでは度々書いてきましたが、自分の受けたいタイミング、場所でボールを受けられないため、本来のプレーが出来ていません。ボールを受けても、強引にシュートを打つため、相手のDFに引っかかってしまう。あるいは、チャンスに大久保ならありえない程のコントロールミスをして、シュートを外す。大久保らしからぬプレーが目立ちます。後半に至っては、ボールを受ける動きがほとんどなく、中村同様試合から消えてしまいました。

大久保は、川崎フロンターレに加入後、3年連続得点王を獲得。絶対的なエースとして、チームの勝敗を担ってきました。本人もそのプレッシャーを糧に、結果を残し続けてきました。中村も川崎フロンターレをずっと支え続け、風間監督就任後は、風間監督の最大の理解者として、チームを支え、引っ張ってきました。ところが、小林や大島が台頭し、日本代表に選出され、チームの序列に少し変化が出てきました。中村と大久保より実績がある、チョン・ソンリョンという選手の加入も、チーム内のバランスに微妙に影響を与えている気がしますし、外から見ていると、中村と大久保が今までより絶対的な存在ではなくなっている。そんな気がします。

2人は結果を出すことで、自分のチーム内のポジションを維持してきました。しかし、チームのレベルが上がり、モチベーションが高く、コンディションがよい選手もいます。エースとキャプテンは、一旦起用したら、簡単に替えるものではありません。風間監督は我慢しながら、2人が活かせる最適な道を探してきました。中村を左サイドで起用したり、大久保を小林の背後で起用したり、試行錯誤を続けてきました。しかし、劇的に上手くいっているわけではありません。何より、2016年シーズンは、中村のパスを大久保がゴールしたシーンをほとんど思い出せません。

もしかしたら、中村、大久保、そしてこの試合途中交代した谷口なども含めて、もう一度、練習でよいプレーを披露した選手が、スタメンを勝ち取る。そうするタイミングなのかもしれません。失点が増え、負けが増えているこのタイミングは、何かを変えるよいチャンスです。

中断期間で毎回チームを立て直してきた風間監督

この試合以降、約3週間の中断期間に入ります。風間監督は、これまで中断期間を上手く活用して、チームを立て直してきました。基本的な戦略は変えないものの、戦術を変え、フォーメーションを変え、起用する選手を変え、自分たちが考える戦略をいかにして今のチーム状態で実現させるか考え、様々な対策を実行してきました。リーグ戦は残り3試合ですが、残り試合が何試合であろうが、変えるときは思い切って変えるのが、風間監督です。

0-3での敗戦はショックかもしれませんが、ショックを受ける程の敗戦をすると、人は「何か変えなきゃ」と思うものです。「何か変えなきゃ」という気持ちになったとき、何か対策すると、初めて効果が現れるものです。選手も同様です。今まで、風間監督は対策を打ちたいけれど、我慢していたと思います。怪我人も多く、対策を打てるほど選手も揃っていませんでした。ベンチ入りの選手を揃えるので精一杯。そんな時期に勝ったり負けたりを繰り返しながら、連敗することなく、どうにか乗り切ってきました。対策を打つなら、今しかありません。

この3週間の中断期間で、風間監督がどうチームを変えるのか、楽しみにしたいと思います。試合後にインタビューに答えていた風間監督は、すでに幾つかアイディアを持っているような印象を受けました。幸い、三好、森本、板倉といった選手は、この試合でよいプレーを披露してくれました。三好と板倉はチームを離れますが、他の選手も試合に出たいという気持ちを持ち続けているはずです。風間監督がどんな手をうつのか、注目したいと思います。とても楽しみです。

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