nishi19 breaking news

スポーツでもっと楽しい未来を作る

名選手はウォーミングアップも一味違う。-デビット・ベッカム編-

   

スタジアムでサッカー観戦する時楽しみにしている事があります。それは、試合前のウォーミングアップです。試合前のウォーミングアップをじっくり観察すると、試合を観ているだけではわからないテクニックや、試合に向けてどのような準備をしているかがわかります。そして、名選手のウォーミングアップは観ているだけで楽しいですし、また、名選手ほどウォーミングアップのやり方も独特です。

今日は、先日現役引退を発表したデビット・ベッカムのウォーミングアップのエピソードをご紹介します。

独特なベッカムのロングパス練習

2003年2月、卒業旅行として僕はイギリスにサッカー観戦旅行に行きました。前日ロンドンでチャンピオンズリーグのアーセナル対アヤックスを観た僕は、ロンドンから列車で2時間半乗ってマンチェスターへとやってきました。観戦したのはマンチェスター・ユナイテッド対ユベントスというカードだったのですが、残念ながらデルピエーロやブッフォンなどの主力選手が風邪で欠場。ベッカムも前の試合後に、ファーガソンが蹴ったスパイクが顔に命中するという事件が発生したばかりということで、スタメン落ちが噂されましたが、無事にスタメン出場を果たしました。

そんなユベントス戦の試合前、ウォーミングアップも終わりに近づいた頃のことです。ベッカムがコーチと思われる人物とロングパスの練習を始めました。距離はおよそ20m。ベッカムほどの名手なら、相手の足元にパスをすることは、それほど難しくない距離です。

ところが、10分ほどのロングパスの練習中、ベッカムが蹴ったボールは相手に正確にわたることは、ほとんどありませんでした。それどころかボールは右へ左へ曲がり、あらぬ方向へと飛んでいきます。そしてボールの曲りが鋭く、コーチの手元で5mほど急激に曲がっていくのです。ベッカムのキックが放たれる度に、コーチは右へ左へ走りまわっていました。

僕は不思議でたまりませんでした。プレッシャーがかかる試合中に、世界中の誰よりも正確なキックが蹴れるベッカムが、なぜ練習で正確にボールを蹴ることが出来ないのだろうか、と。でも、練習をしばらく観ていて気づきました。ベッカムはボールが右へ左へ曲がっても、首を傾げたり、コーチに詫びを入れるようなしぐさは全くしません。むしろ、何か狙いを持って練習している感じすらしたのです。そんなベッカムの仕草をみて気づきました。

わざと、ボールを曲げているんじゃないか、と。

ボールの曲がり具合で調子を確かめる

どうやらベッカムは、試合前の練習でキックが正確に蹴れるかどうかを確認するために、ロングパスの練習をしていたわけではありませんでした。むしろ、カーブをかけてどれだけ曲がるか、ボールの曲がり具合で自身の身体のキレや、キックの調子を確かめていたようです。

ボールにカーブをかけるというのは、実は長い距離を蹴るより力が必要ですし、正確にボールを捉える技術もあわせて必要になります。イチローが試合前のフリーバッティングでは、わざとフルスイングしてホームランを連発し、身体のキレを確かめているという話を聞いたことがありましたが、ベッカムのロングパスの練習もそんな狙いがあるのかもしれません。

ちなみに、試合前にロングパスでボールの曲がり具合をチェックしていた選手は、いままで観た中では、ベッカムしかいません。ベッカムが試合中も正確にロングパスを蹴れるのは、こんな練習に秘密があるんじゃないかと思いました。

ベッカムが魅せた極上のラストパス

ちなみに、この試合はベッカムの2アシストで、マンチェスター・ユナイテッドが2-1でユベントスを破りました。事件を起こした後に、2アシストを決めるベッカムはさすが千両役者です。そんあベッカムがファン・ニステルローイにアシストした極上のラストパスがこちらの動画です。

“What a touch by Van Nistelrooy!!”という実況の通り、ファン・ニステルローイのシュートも最高ですが、ファン・ニステルローイがウエーブの動きでマークを外した瞬間に、ファン・ニステルローイが動くポイントにめがけて正確に真っ直ぐ蹴られたベッカムのロングパスは、最高です。

このゴールが生で観られたことを、幸せに思います。

関連商品

 -