スポーツにウェアラブル端末が不可欠な時代

今年は、スポーツでも「ウェアラブル」という言葉を、よく耳にする年になるかもしれません。「ウェアラブル」とは、腕や頭部など、身体に装着して利用することが想定された端末(デバイス)のことです。昨年は、NIKEが「FuelBand」という活動量を記録する商品を発表し、大ヒットさせました。今年はApple Watchが正式に発売される事が決まっていますし、一部の人向けに普及していたGoogle Glassも、今年はより多くの人が目にする機会が増えるのではないかと思います。

ロジャー・フェデラーがGoogle Glassを使用した映像

時計もメガネも「ウェアラブル端末」

ただ、「ウェアラブル」端末を身につけるということは、今に始まったことではありません。既に、ウェアラブル端末は日常に普及しています。最も、普及したウェアラブル端末は、「時計」だと言われています。身体に身につけ、現在の時刻を把握出来るという機能は、身体にはありません。また、「メガネ」もウェアラブル端末です。頭にかけることで、失われた視力を補う。これも「ウェアラブル」端末だから出来る事です。Appleが時計を、Googleがメガネを、ウェアラブル端末としてリリースする理由が、分かって頂けたかと思います。

スポーツの世界でも、ウェアラブル端末は多くのユーザーに利用されています。ナイキが発売した「NIKE FUELBAND」という端末は、スポーツや日常生活の活動量を測ることが出来るツールで、世界中で大ヒットしました。
また、ランニングや自転車の走行距離を、スマートフォンのアプリを使って記録し、自らのトレーニングメニューや、成果を把握している人もいます。代表的なアプリが「NIKE +」です。

「NIKE FUELBAND」を紹介した映像

「NIKE +」を紹介した映像

プロスポーツの現場ではウェアラブル端末は常識

プロスポーツの現場では、ウェアラブル端末を使ったトレーニング負荷の把握は、当たり前になっています。

アディダスは、スポーツ選手のトレーニング効果を測定するために「micoach elite」というウェアラブル端末を発表しました。「micoach elite」には、GPSセンサー、ジャイロセンサー、加速度センサー、心拍センサー(アンテナ部以外)、地磁気センサーが内蔵されていて、このプレーヤーセルを、miCoach elite専用に開発されたウエアに取り付けます。これらのセンサーを用いることで、走行距離、瞬間速度、加速度、活動していたエリアなどを検出でき、”どのぐらいの時間走っていたか”、”瞬間的な活動量の多さ”などの情報を知ることが出来ます。各データを時間軸で揃えれば、心拍数との関係性を調べたり、あるいはフィジカルトレーニング時の負荷をコントロールすることも出来ます。データはWifiからコーチが持っているiPadにアプリ経由で送られ、コーチは選手が実施しているトレーニングの負荷を、リアルタイムで把握することが出来るのです。

サッカーでは、チェルシー、バイエルン・ミュンヘン、レアル・マドリーといったチームが既に導入しています。日本でも、横浜F・マリノスが導入し、怪我人の発生を未然に防いでいます。(横浜F・マリノスが怪我人が少ないというデータについては、「「Jリーグの順位と負傷者数の関係を考察する」番外編-負傷者数でチームの状態が分かる-」を御覧ください)

プロスポーツの現場で当たり前になっているウェアラブル端末は、今後学生スポーツやアマチュアスポーツでも、当たり前のように導入されていくと思います。既に、アメリカでは学生スポーツでも、ウェアラブル端末を用いて、トレーニングの負荷をコントロールするようになっているそうです。

「micoach elite」について紹介している映像

注目のウェアラブル端末は「義足」

意外かもしれませんが、スポーツ界で注目されているウェアラブル端末は、「義足」です。既に、いくつかの競技では、健常者が走るより、義足歩行の方が走ったほうが、よい記録が出ると言われています。ロンドン・オリンピックでは、オスカー・ピストリウスが、オリンピックとパラリンピックの両方で出場しました。

日本でも、為末大さんがソニーコンピュータサイエンス研究所の研究者遠藤謙さんと共に、2020年の東京パラリンピックに出場するための選手を育てるための会社「Xiborg」を設立しました。遠藤さんは、「義足が時計やメガネと同じくらい普及するようになったらいい」と語っています。今後、義足というウェアラブル端末が、どのように進化していくのか、注目です。

遠藤謙さんのTEDxTOKYOでのプレゼン

スポーツの発展にウェアラブル端末は不可欠

繰り返しになりますが、今年は、スポーツでも「ウェアラブル」という言葉を、よく耳にする年になるかもしれません。パフォーマンスを記録し、自らのトレーニングに反映させる。または、自らの機能向上のために、ウェアラブル端末を使用する。こうした事が、より日常的になっていくと思います。

当然、ウェアラブル端末が普及することで、端末を使うことのメリット・デメリットについて、考える機会も増えると思います。既にGoogle Glassについては、盗撮が出来るのではないかという声が挙がっています。義足についても、オスカー・ピストリウスがオリンピックに出場した時、「義足で出した記録」について賛否両論が巻き起こりました。ただ、ウェアラブル端末普及の流れは、止まらないと思いますし、スポーツのパフォーマンス向上のために、テクノロジーの導入は避けられません。

スポーツとテクノロジーの関係を考える上で、ウェアラブル端末がどのように普及していくのか、今後注目していきたいと思います。

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