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書評「WIRED(ワイアード)VOL.23 いい会社 ビジネスとミッションは両立できる!」-VestaxとESPの創業者を知ってるかい?-

   

WIRED(ワイアード)VOL.23の特集は「いい会社 ビジネスとミッションは両立できる!」と題して、ちゃんと稼いで、ちゃんと社会の役に立つ、未来の会社を紹介した特集です。しかし、僕が一番面白いと思ったのは、未来の会社を紹介した記事ではありません。

楽器メーカーのESP、DJ機器メーカーのVestaxこの2つの企業が1人の日本人によって創業されたことをご存じの方は、音楽が好きな方でも少ないと思います。僕は知りませんでした。その人の名は、椎野秀聴さん。世界の音楽を変えた起業家のストーリー、稀有なビジョンを紹介した記事が、他の記事に比べてダントツに素晴らしかったです。

Vestaxは実業である。

ぼくは業を起こす「起業」は好きなんだ。でも、業を企てる「企業」ってのはあんまり好きじゃなくてね。

椎野さんのストーリーはぜひ本書を読んでいただきたいのですが、椎野さんは、文字通り「起業」家でした。

世の中には、こいつにしか、これはつくれないっていうものを作る天才がいるんですよ。ぼくの仕事は、そういう人たちを集めてくることなんです。

ただ、こう語っていた椎野さんですが、ビジョンだけの人ではありませんでした。

Vestaxは実業である。小さなものの積み重ねがだんだん大きくなっていくのが実業の特徴で、必ず理論的な裏付けと経験と実績によって成り立っていくものである。確実にどういう方向で何をするのかを分かってやっていないと形ができあがらない。

それに比べて虚業というのは、ある一瞬のひらめきとかアイデアが時流に乗ったりすると膨大な規模のことを短期間にできたりする。(中略)製造メーカーが1ヶ月に1000個つくっていたものを2000個つくるためには、必ず倍の器、または時間と労力が必要となるし、次の月にも2000個つくろうとしても器がなくてはできないから努力だけでは出来ない。だから、実業と虚業の差を正しく理解していないとダメなのだ」

だから、椎野さんは徹底した生産管理と在庫管理を、経営者としてことさら重視したそうです。

顧客に対する約束を製品を通じて守ることほどのブランディングはない

世界のクラブシーンを支えてきたVestaxの創業者が、社員に向けて以下の様な「心得」を授けていたと知ったら、きっと意外に思うはずです。

  1. 音楽に関する製品以外に、また、音に関するマーケット以外に、決して手を出してはいけない。
  2. 社員、会社双方が必然性を感じる仕事の体型づくりを貫く。必然性のない社員はいられない。
  3. 高品質、高技術の製品をつくり、決して価格で市場をつるような製品をつくってはいけない。誇りをもってつくったものを安売りしない。
  4. 商売優先ではなく、信用優先。
  5. 決められた約束は守る。ゆえに時間厳守。
  6. 正義感をもって会社を想像する。
  7. 話は素直に、ストレートにものを言う。
  8. あきらめず困難に立ち向かう。しかし見切りどきをつけること。

Vestaxxではマーケティングにほとんど費用を割くことはしなかったそうです。顧客に対する約束を製品を通じて守ることほどのブランディングはない、と考えてきたからです。

いつも夢をもって、市場をよく見て、買ってくれる人のことをよく考えて。それで、ここのものはちょっと高いけれどよくできてるというものをつくって、他を圧倒していく力がないとこの仕事は続かない。

椎野さんのものづくりや経営に対する考え方は、いまも変わっていません。

会社っていうものがどういう構成で進むかと言うと、まず理念があって、その理念に基づく戦略があって、その戦略に基づく戦術があって成り立つわけです。理念がなければ戦略は立たない。よく、戦略が立たないとかいう人がいるんですけどね、それは理念がないからなんですよ。目的がないというか。

会社には理念が大切だという本は、世の中にたくさん出版されています。しかし、この記事ほど理念の大切さを伝えている記事はないのではないかと思います。Vestaxもそうですが、アウトドアブランドのパタゴニアも、理念を大切にしながら経営をしているブランドです。理念をきちんと掲げているブランドが、アウトサイダーに支持されているブランドであるというのも、興味深いです。

ぜひ、椎野さんの記事を多くの方に読んでもらいたいです。頭が良い、いい人ぶった経済学者が語る経営の話より、同じ話でもより頭の中に入ってくるはずです。そして、こうしたベンチャーの経営者たちが、日本の経済を支えてきたのだということを、改めて実感した記事でもありました。

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