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書評「WIRED VOL.18 特集 スター・ウォーズ」-求められる伝統の継承と破壊-

   

子供の頃に、亡くなった叔父の家に遊びに行った時、叔父が当時珍しかったレーザーディスクで、1本の映画をみせてくれました。映画の中で繰り広げられるめまぐるしい展開、愛くるしいキャラクター、そして未来はこうなるのではないかという期待感。1本の映画が持っているエネルギーに、子供の頃の僕は圧倒されました。

その映画は、「スター・ウォーズ」。2015年12月に監督にJ.J.エイブラハムスを迎え、新作が公開されることが発表されます。Vol.18のWiredでは、「スター・ウォーズ」の新作について、過去を振り返りながら、特集記事として紹介しています。

スター・ウォーズはスタートアップが作り上げた

1970年半ば、ジョージ・ルーカスが「スター・ウォーズ」の売り込みを始めた時、手を挙げるスタジオはどこもなかったそうです。その世界を映像化するのに必要な技術が単に存在せず、製作不可能な映画だと判断されたからです。

そこで、ジョージ・ルーカスは自力で「スター・ウォーズ」を作るために、SFXスタジオ「ILM(インダストリアル・ライド&マジック」を設立しました。製作不可能と言われた「スター・ウォーズ」はILMによって実現し、後に「ターミネーター」「ジュラシックパーク」「トランスフォーマー」といった作品を作り上げます。

また、ILMにはジョン・ラセターが所属しており、ILMで研究していたことを発展させ、ピクサーという会社を設立します。また、ILMのスタッフが勤務時間外にプログラムをいじくりまわしているうちに開発されたのが「Photoshop」というソフトです。今では、グラフィックを作るのに「Photoshop」は欠かせません。こうした、数々のイノベーションが「スター・ウォーズ」から、そして、ILMから生み出されているのです。

特集にはILMについての証言が収められているのですが、そこはスタートアップ企業そのものだということ、そして当時の担当者からは「スター・ウォーズ」にかけていた、圧倒的なエネルギーが伝わってきます。

思い描いていた「スター・ウォーズ」は非常に動きの速い、パン(視野を横方向に動かすカメラワーク)を多用した作品になること、そして最後に大規模な宇宙戦争が起こることは決まっていました。しかし当時はそれができませんでした。「自分たちでなんとかしなくては」とは思っていましたが、その選択が自らの身を滅ぼすもとになることはわかっていました。
(ジョージ・ルーカス)

ILMの評判は素晴らしいとは言えなかった。ルールを沢山破っていたからね。でもその一方で、そう口にしているスタジオの連中がベッドで眠っているときに、おれたちは夜中の3時まで働いていた。
(ジョン・ダイクストラ(VFX監修))

内装も何もなくて、壁の上にはポリエスチレンシートがホチキスで留めてあるようなところでね。時々音楽をかけてみんなで盛り上がるんだけど、いちばん流行っていたのが、フリートウッド・マックの「噂」だった。壁がプラスチックだからボリュームを上げられないんだ。
(スティーヴ・ゴーリー(模型製作・監修))

最高の遊び場でした。マッド・サウンド・サイエンティストやマッド・ヴィジュアル・サイエンティストたちがいて、撮影の合間に爆竹を鳴らして近所一帯を揺らしたりしてね。わたしはそのとき30代前半だったけど、あんなに楽しい遊び場は他に知りませんでした。
(スティーブン・スピルバーグ)

ジョージ・ルーカスは、スタッフに常にこう言ってきたそうです。

「これは不可能だ」とスタッフたちが言うと、わたたしはいつもこう言ってきました。「それがわたしの仕事だ。わたしの仕事は君たちに不可能なことをしてもらうことだ」

そして、ILMが成し得てきたこと、ILMが傾けてきた情熱について、スティーブン・スピルバーグはこんなふうに例えています。

ずっと思っていました。もしILMが宇宙開発をやっていたら、もう今頃は火星に入植してたんじゃないかって」

新作に求められる「伝統と破壊」

新作に求められているのは、過去の「スター・ウォーズ」が持っている「伝統」と、伝統を破壊するくらいの「革新」です。そして、本当に超えなければならないのは、過去の「スター・ウォーズ」が持っていたエネルギーを超えることなのです。監督のJ.J.エイブラハムも自分に求められていることは承知しています。そして、新作を作るにあたって、一番苦労したのもその部分のようです。

過去のスター・ウォーズにあったさまざまな要素を、それを顕彰するためだけに美術品のように入れたり、それが過去の作品に出ていたというだけの理由で、ぞんざいに放り込んでみたりすることを避けるべく、細心の注意を払わなくてはならなかった。映画に出てくる要素は、すべて登場するキャラクターと必然的に結びついてなきゃダメなんだ。

新しい「スター・ウォーズ」は、誰が作っても、「これはスター・ウォーズじゃない!」という批判を避けることは難しいと思います。しかし、その批判を真正面から受け止めるだけでなく、先人たちの情熱やクオリティを超えようとする意気込みを、プロデューサーのキャスリーン・ケネディ(個人的にはジブリの全米展開のプロデューサーとしてのイメージがあります)、ジョン・ウイリアムス、といったスタッフたちのインタビューから感じることが出来ました。

この特集を読むと、スター・ウォーズの次回作への期待が、嫌が故でも高まってきます。スター・ウォーズファンだけでなく、スター・ウォーズの新作に少しでも興味がある人はぜひ読んでもらいたい特集です。

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