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百年二百年、千年先にも恥じぬ眼差し。書評「名も知らぬ遠き島より」(山口智子)

   

女優としての山口智子さんを知っている人は多いでしょうが、本書に書かれている山口智子さんの事を知っている人は、どれくらいいるのでしょうか。

山口智子さんは、ライフワークとして、古今東西様々な芸術を追い求め、紹介する活動を続けています。BS朝日で放送される「LISTEN」という番組では、山口智子さん自らセレクトした音楽や文化を紹介する番組です。昨年放送されたVol19で紹介されたのは、民間伝承されてきたケルト人の古い歌を世に伝える活動をしてきたグループ。他にも、馬の毛で出来た楽器を演奏する人や、ジプシー音楽を世に伝える若者たちなどを、紹介してきました。

また、日本のものづくりについても造詣が深く、山口さんが自ら電話をかけて、工房を見学してまわった様子をまとめた文章が、「掛けたくなる軸」という書籍に収められています。

そんな山口智子さんが、葛飾北斎、尾形光琳といった日本の芸術家が海外にどんな与えた影響を与えたのか、レオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロの作品など、世界中の文化に触れ、芸術について、そして日本について、自らの仕事について、考えたことがまとめられているのが、本書「名も知らぬ遠き島より」です。

驚かされる参考文献の数々

本書を読み終えて驚かされるのは、巻末に書かれている参考文献の数々です。本書で紹介されている、葛飾北斎、尾形光琳、レオナルド・ダ・ビンチ、ミケランジェロ、ドガといった芸術家に関する書籍がずらりと並んでいます。女優の方が、芸術に関するエッセイを出版することはありますが、ここまで自身で本気で調べ、自分で文章にまとめている人はいません。ライフワークとはいえ、費やしているエネルギーの熱量に、読み終えて、改めて驚かされました。

天才も1人の人間

山口さんは、なぜ古今東西の芸術家にひかれたのか。それは、天才と言われる人も一人の人間であり、より高いレベルを求めてたゆまぬ努力を続けているのだということを、作品から感じ取ったのではないかと、思いました。そして、文献を紐解き、改めて畏敬の念を深めたのだと思います。

画家は絵で全てを語り、時代を超えて私達の心を動かす。この感動を、私自身、世界と結びつく「仕事」という道において、未来において誇れる一歩への力としてゆきたい。美はあらゆるものに存在する。百年二百年、千年先にも恥じぬ眼差しをもって、無限に出会う発見への扉をひらいてゆきたい。

芸術とはどういうものか。なぜ、私達のこころをうつのか。そんな事を考えさせてくれる1冊です。

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