2017年J2第16節 横浜FC対名古屋グランパス プレビュー「似て非なる2チームの戦い」

2017年J2第16節、名古屋グランパスの対戦相手は横浜FCです。

「チャンス構築率」と「シュート成功率」がほぼ同じの両チーム

まず、第15節までのデータを基に、対戦する横浜FCのデータから分析した特徴を紹介します。

Football-LABのデータによると、シュート数を攻撃回数で割った「チャンス構築率」は9.1%でリーグ14位。しかし、ゴール数をシュート数で割った「シュート成功率」は、12.6%でリーグ2位です。実は名古屋グランパスの「チャンス構築率」は、9.0%でリーグ15位。「シュート成功率」は12.4%でリーグ3位と、横浜FCのチャンス構築率とシュート成功率はほぼおなじ数値であることが分かります。「チャンス構築率」と「シュート成功率」だけで比較すると、両チームは似たような戦い方をするチームに思えますが、他のデータを基に詳しく読み解いていくと、両チームの戦い方の違いが分かります。

「ボールを持たない」横浜FC

横浜FCの1試合平均のパス本数は333.5本でリーグ19位。また、ボール支配率は45.7%でリーグ17位。名古屋グランパスの1試合平均のパス本数は577.0本でリーグ3位。ボール支配率は55.3%でリーグ3位。つまり、少ないパス本数で攻撃し、相手にボールを「持たせる」横浜FCと、パスを数多く交換し、ボールを保持してプレーしたい名古屋グランパスでは、全く戦い方が違います。

両チームの差がはっきり分かるのは、30mラインの侵入回数です。名古屋グランパスは1試合平均43.3回でリーグ3位。一方、横浜FCは33.1回でリーグ16位。実は攻撃回数も134.3回でリーグ14位。このように、攻撃回数が少なく、パス本数が少なく、ボール保持率も低く、30mラインの侵入回数も低い。しかし、得点数はリーグ2位。このようなデータを示すチームは、相手が攻めてきたらボールを奪い、素早く相手陣内にボールを運び、シュート成功率の高い選手がシュートを決めて得点する。そんな戦い方をすることが読み取れます。

「相手に確率の低いシュートを打たせる」横浜FC

横浜FCは守備もよいチームです。被チャンス構築率は9.6%でリーグ11位とほぼリーグ平均ですが、被シュート成功率は4.9%とリーグ1位。相手にシュートを打たれても決めさせない。あるいは相手に確率の低いシュートを打たせているという事が分かります。

横浜FCにおける、「シュートを確実に決める選手」はイバ、「相手に確率の低いシュートを打たせる選手」はカルフィン・ヨン・ア・ピンです。この2人を、佐藤、ジョン・チュングン、野村といった選手がサポートしています。名古屋グランパスとしては、ボールが保持できると思いますので、いかにシュートチャンスを作れるか。そして、どれだけ成功率が高いシュートチャンスを作れるか。最近の試合ではシュートチャンスは作れているので、いかに成功率の高いシュートチャンスが作れるかがポイントです。

この試合は、町田ゼルビア戦、愛媛FC戦の戦い方を踏襲すると思います。シーズンが進むにつれて、選手たちは日々の練習で技術レベルが上がり、シーズン序盤に比べたらスムーズに相手陣内にボールが運べるようになりました。あとは、「どう崩すか」です。

ゴール前ほど緻密にプレーする

サッカーでは、ゴール前は自由な発想でプレーさせようとし、ゴール近くのプレーについては特に約束事を設けない監督がいます。しかし、風間監督は違います。常々「ゴール前ほど緻密にプレーするように」と語り、様々なパターンのシュート練習を繰り返します。風間監督は表向きは約束事を設けていないように発言するのですが、実は相手の守備を崩すために、緻密な準備を行う監督です。選手たちは即興で崩したと感じたとしても、実は緻密な準備の上になりたっているプレーだったりします。そして、風間監督は相手がしっかり守っているゴール近くの守備が崩せるなら、攻撃開始時の相手の守備を崩すのなんて簡単だろう。そう考えている監督でもあります。

最近バスケットボールを観ていると、サッカーに比べるとバスケットボールが得点を奪うために緻密にプレーしている事がよくわかります。バスケットボールは、サッカーのゴール前が繰り返し行われるスポーツです。したがって、ゴールを奪うための戦術がサッカーと比較しても洗練されています。ボールを両手で扱えるというメリットもありますが、いかにチームで連動してフリーの選手を作ろうとしているかよく分かります。バスケットボールに「自由な発送でプレーする」という発想はありません。

選手の特徴を理解するところから始まったチームは、試行錯誤を続けながら、少しずつ次の段階に進みつつあります。楢崎、玉田、シモビッチ、佐藤といった選手が先頭を走り、田口は猛スピードで3人に追いつきつつあります。櫛引、ワシントン、和泉、内田、宮原、永井といった選手たちがそれに続き、杉森、フェリペ・ガルシア、杉本、酒井、青木、磯村といった選手たちも成長しています。八反田のように元の感覚を取り戻しつつある選手もいます。矢田、大武、高橋のように出遅れている選手もいますし、ルーキーがまだ戦力になっていないのは気になりますが、何度も書いてますが、川崎フロンターレの時よりチーム作りのスピードは速いです。

この試合は、現在の名古屋グランパスの力を測るのにとてもよい試合だと思います。今のチームがどのくらいのレベルにあるのか。横浜FCというチーム相手に、どんなプレーを披露するのか。とても楽しみです。